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ついこの間まで、寒い寒い、が口癖だったはずなのに、
気つけば、春がやってきていました。
(前回の日記は2011年の年末ではないか・・・なんと!)


冬の間、バイク乗りはさながら、
冷蔵庫に身体まるごと飛び込んでるようなもの。
ほほの横を通り抜ける風は、ナイフみたいに鋭くってとげとげです。


それがある日突然、
ほほをやわらかぁくなでてくれている風に、はっ、と気がつく。

「春だ!」

1年のうちで一番幸せを感じる瞬間かもしれません。


「春だ!」

「春だねぇ」

そんな言葉を交わせる人がいれば、なお幸せ。
春の訪れを喜ぶ気もちのうえに、
その喜びを分かち合える人がいる喜びが、
まるでお化粧砂糖のようにふりかけられ、
それはそれは、あったかくって切ないきもちになります。


幸せだなぁ、と感じる私がいて、
その右隣には、同じように、幸せだなぁ、と感じている人がいて。
隣の人の、幸せだなぁ、の空気が、身体右半分からじんわり伝わってくると、
私の中からますます、幸せだなぁ、が、そろりそろりとしみ出してくる感じ。


そしておそらく、私の、幸せだなぁ、がまた、
隣の人の身体左半分へと伝わってゆき、
あたらしい、幸せだなぁ、がすぐそばで生み出されてゆく感じ。


1人では生み出せないもの。
1人と1人、でも生み出せないもの。
2人になって、はじめて生み出されるもの。


1人きりの時間が、タイムカプセルになって気づかせてくれたのね。
共有と循環、の、春なのです。


mai
2011年のおわりに、
私はなんて言葉を口にできるのかわからなくって、
したらいいのかもわからなくって、
でも、
“全部”じゃなくても、“ちゃんと”じゃなくても、
伝えたいことがある、
なら、
伝えよう、って思いました。


2011年、出逢ってくれてよかった。
2011年、生きてくれてよかった。
その存在、ひとつひとつにかたちづくられた私が、
今日もここに生きてます。


2011年、涙ばっかりじゃなくて、
ふっと頬がほころぶ瞬間だって、きっとあったよね。


mai works には HP と WEBSHOP ができました。
『ほめ言葉のシャワー』のサイドブック、『贈りものの言葉』も完成しました。
銀座月光荘で、たくさんの懐かしいお顔、あたらしいお顔と出逢いました。
mai works の原点、『場の持つ力』が帰ってきました。


2011年12月30日から2012年1月3日まで、
mai works WEBSHOPはおやすみをいただいていますが、
あたらしい年に、作品を通してまたあなたとつながってゆけること、
心から願っています。


どうか、よいお年を。
金沢市の泉野に「チルクリ」という名前のちいさな絵本屋さんがあります。
私が26年前に通った保育園と、12年前に通った高校の、すぐ近く。
このお店は、こども時代の私にとって、
まるでワンダーランドのような、特別な場所でした。


  こどもの本の専門店 チルクリ

  石川県金沢市泉野町5-3-3
  076-247-4473


一歩足を踏み入れると、ところせましと並ぶ絵本、絵本、絵本!
ちいさな私には、見上げるばかりの高い本棚が
迷路のような本の道をつくっていて、
あっちを向いてもこっちを向いても、読みたい本がたくさん。
目うつりする幸せを、幼いながらひしとかみしめ、
今日はどの本にしょう、あれかな、これかなって
きもちがはちきれそうだった。

チルクリさんにはたくさん足を運んだけど、
一番覚えているのは、
毎年紅茶の時間でひらいていたバザーでの売り上げを握りしめて、
紅茶の本棚に仲間入りするその年の絵本を決める、っていう儀式。
うーんとながい時間をかけて選んだその本を、
帰るなり、ドキドキしながら開いて、その見返しに
「○○年 紅茶バザー」って書き込むんだ。


大人になって自分のお金で好きなだけ本を買えるようになったけど、
それに反比例するみたいにして、本を買う、という行為に対する
ドキドキ感はうすれていってる気がする。
もしかしたら、もうあの頃ほど嬉しいきもちで本を手に入れることは
できないのかもしれないなぁ。
(……って思うと、ちょっと切ない)


大人になってわかったこと、もうひとつ。
あの頃の私がお気に入りだった本を手にとってみると、
飛び抜けてすばらしいストーリーなわけでもなく、
とてつもなく美しいイラストというわけでもなく、
他の作品と比べて、なんであんなに好きだったんだろう??って
絵本だって、たくさんある。
自分のことなのに、はてなマークだらけだ。


こどものほんの専門店、ってきっとすごく難しい。
大人が読ませたい作品、と、子どもが読みたい作品、って、
(もちろんその円が重なる部分はあるにせよ)
決しておんなじではないだろうから。


チルクリさんのレジは、大人がいすに座ってちょうどいい高さ、
つまり普段の世界よりも、ずっとずっとちかい目線で、
こどもたちと、そのつど向かい合ってる。
(私たちが訪れた日にも、
 ドキドキの顔しながら絵本をさしだしてる子がいたよ!)



うれしいッ!って顔、ブスッとした顔、どんな表情もしっかり見て、
語る言葉にも耳を傾けて、
「こどもたちの喜ぶもの」を一番大事にしてきたからこそ、
大人よがりでない、こどものためのお店を
何十年も続けてこられたのだろうなぁって、見ていて感じました。


さてさて、今日の嬉しいご報告。
私がもう26年もお世話になっているこのチルクリさんに、
『ほめ言葉のシャワー』と『贈りものの言葉』置いてもらえることになりました。
こういうのも凱旋っていうのかしら……ってなにをえらそうな!!!汗
でも、なんだかちょっとだけ誇らしかったのです。
あの頃の私に教えてあげたい。
あなたの大大大好きなこの場所に、20数年後、
あなたの作品が並ぶんだよ、って。
そしたらどんな顔するのかなぁ、私。


写真は、チルクリさんの近くの図書館員さんがハンドメイドした
そりゃもう美しい切り絵。
どれも絵本の登場人物&動物たちをモチーフに。
入口のドアの内から外から、ようこそ、って言ってくれてます。
本ができてから時間がたつごと、
『ほめ言葉のシャワー』では伝えきれないものが『贈りものの言葉』にあり、
『贈りものの言葉』では伝えきれないものがまた、
『ほめ言葉のシャワー』にあるんだなぁ、
なんて感じています。


それはね、あなたのできないことを私がしているのかもしれないし、
私のできないことを、あなたがしているのかもしれない、という、
当たり前だけど嬉しい発見と、どこか似てるね。




今日は、私たち親子の夏休み日記を。


もともと燃費がいい (=エネルギーの使い方がうまい) 母ですが、
この夏のハードワーカーぶりは、
そばで見ていても (←離れてるけど、いつもそばにいるきもち)
大丈夫かいなーと心配になるほどで、
かたや燃費悪めの私の方も、てんやわんやしている内に、
あれまぁ、夏がもう終わりだー。


もちろん充実感たっぷり、でもやっぱり人間なので、ごほうび時間ほしい!
ドトウの8月最後の出前を終わらせて、母が我が家へやってくるというので、
夏休み!どこ行く?書林房五常さん!と即日決定。
夏から秋へと季節が変わる直前に、親子で名古屋へ夏休み旅、してきました。



名古屋には強力ツアーガイドのバンドエイド (Click!) がいるので、
私たちはノープランのまま、えいやっと新幹線に乗ったら、あとはおまかせ。
美味しいランチをいただきながら、バンドエイドと爆笑だらけのトークをした後、
バンドエイドお父さんに個人タクシー出していただいて、
いざ、書林房五常さん!


五常さん (Click!) は、全国で唯一「紅茶3部作」を置いてくださっているという、
とってもきとくな本屋さんです。
その経緯は、こちら (Click!) に詳しく。


五常さんでのお取り扱いが始まったのは、今年の3月1日。
フェアも企画してくださるということだったので、
『贈りものの言葉』を完成させたら、絶対伺おうね!って、
母と楽しみにしていました。


だけどその後、3月11日の震災が起こり。
それまで進めてきた作業も、私自身の頭も、ぴたっとフリーズしてしまった時間、
はっと目が覚めたように、夢中で作品をつくった時間、
途中からは『いのちの未来と原発と』と平行作業で、
一段落する間もなく、月光荘の時間へと。


その間ずっと、五常さんへ伺えないままでいることが、
頭のはしっこでひっかかっていたのでした。
その後どうなっているかしら、もう置いてないかも……
ドキドキしながら扉を開いた視線のまっすぐ先に、
うわわ、すごいすごい!紅茶の時間コーナーが飛び込んできました。



私たち自身、こんなにたくさん自分たちの作品が並んでるのって、
なかなか目にしたことないんじゃないか、というくらい、
それはそれはもう、立派なコーナーなのです。
あ!天井からは、ほめシャワやきもちの表紙写真が、
きちんとおめかししてもらって、ユラユラ揺れてる!



それを目のはしっこにとらえながら、
おずおずと声をかけさせてもらった店員の方が、
社長さんの片腕であり、私たちの作品を担当してくださっているお嬢さんでした。
「mai works の中西です……」と言った瞬間に、
「あっ!」って顔ほころばせてくださって、その笑顔に私たちもホ~ッ。


その後、お店に出ていらした社長さんもご一緒に
4人でお話をさせていただきました。
なかなかお伺いできなかったことを詫びる私たちに、
社長さんの言ってくださったこの言葉が、とても嬉しかった。


「むしろ私たちの方からお礼にお伺いしなければいけないくらいです。
 こういう作品を置かせてくださって、ありがとうございます、と」


五常さんは、長いことレストランを開店されていた社長さんが、
一からご自分の手で始められた書店さんなのだとか。
なので、「売れる本」ではなく、「読んでもらいたい本」という
独自の視点を大切にして、品揃えを考えていらっしゃるそうです。


例えば、今力をいれている企画は、日本文学。
若いお客さんにも親しんでもらえたら、と
各社から出ている、古典と呼ばれる名作を一同に集めた棚を見せていただきました。
なるほど~確かにこういう棚づくりって、なかなか見かけなくっておもしろい!


そうだよね、本屋さんって、作品と読者を出逢わせてくれる場なんだよね。
当たり前のはずなのに、「電子書籍」なんて単語をあちこちで聞くようになってからは、
ふと意識の外にいってしまいそうだった事実を、
改めて、じわじわじわ~、と思い出しました。


しかも、私たちの作品は、産地直送が基本なので、
偶然目にしてもらう機会ってあんまりないのが宿命だけど、
ここでこうして置いていただけるおかげで、
私たちの知らないうちに、どなたかが出逢ってくださっているんだなぁ。


それだけでもう胸いっぱい、だったのに、
社長さんが「隣のコメダ珈琲でお茶でも……」とおっしゃってくださり、
お嬢さんとたっぷりたっぷり、放課後トークまで。


ちなみに、お隣に併設されているコメダ珈琲さんも、五常さんのお店です。
こちら↓は、コメダ珈琲名物・シロノワール



もともとはお取引先さん、という出逢いだけれども、
お仕事の話だけじゃなく、きもち同士でお話しさせていただけたことが、
なんて幸せで、有り難いことだろう。
私にとっては、またひとつ、
作品が外へと通じる扉をひらいてくれたこと実感しつつ、の時間でした。


お忙しい中、お時間さいてたくさんお話聴かせてくださった五常さんのお二人、
中国から帰国して息つかぬ間だったのに、
何から何までコーディネートしてくれたバンドエイド、
お休みのところわざわざ車だしてくださったバンドエイドお父さん、
みんなみんな、本当にありがとうございました。


なんてスペシャルな夏休みの一日、ごほうび時間。
あぁ私、幸せもんだなぁ。


追伸:

五常さんで藤田雄幸さんの新刊 (Click!) 見つけました。
奥付の日付は、私たちが伺った一日前、
しかも、通常では五常さんしていない出版者さんですが、
お嬢さんがチョイスして取り寄せられたとのことでした。
なんとびっくり!


ライオン~作品が同じ本屋さんに並んでるよ。
嬉しいね。